こんにちは。保育園看護師のにくすです。
保育園は、4月始まり・3月終わりの年度が1つの区切りになります。学校と同じですね。
学校と違うところは、夏休み、冬休み、春休みといった長期休みが無いところ。
4月1日から3月31日まで、日曜日と祝日を除いて毎日開園しています。
保育園看護師として働く日々は、季節ごとに変わる業務や行事に応じて忙しさも変わってきます。
この記事では、保育園看護師の年間スケジュールとその中で重要なポイントを解説します。
行事の時期などは保育園によっても違う場合があるので、あくまで一例として見てみてね!
4月~5月:新年度スタート
新年度が始まり、新しい子どもたちが入園し、新入職員が入職します。
春はそういった新入りさんが保育園に慣れるまでの支援がメインになってきます。
新入園児の健康管理
事前に自治体から送られてくる新入園児リストや、前年度に行われる入園前の面談などで大体のことは把握できていますが、アレルギーや持病について、与薬についてなどの書類をお預かりし、子どもの健康状態を改めて把握します。
書類上だけで見るのではなく、まずは新入園児さんの顔と名前を覚え、その子の特徴を知っていくのが重要ですね。
初めて集団生活の場に来た子どもは特に免疫力が少ないため、ピンポン感染を起こしがちです。
そして初めての環境や保護者から離れる寂しさによるストレスも大きく、よく体調を崩してしまいます。
そんな子どもたちの健康管理をしたり、保護者の相談に乗ったりとする時期になります。
保護者説明会に参加
私の保育園では、入園式のあとに新入園児の保護者向けに説明会が開かれます。
看護師も参加し、保育園における保健の視点を保護者さんたちに説明します。
- 保育園は集団生活の場であるため、風邪などをうつしうつされることが多い。体調不良時は子どものためにも速やかにお迎えに来てほしいこと。
- 登園の目安について(体温の基準や下痢・嘔吐などの症状があった場合どうするか)。
- 子どものかかりやすい感染症について。
- 保育園では基本的にお薬を預からないので、朝夕処方にしてもらうこと。
- 熱性けいれんやアレルギー発症、事故によるけがなどにより受診をする場合があること。
- 保健行事について(内科健診、歯科検診、身体測定、健康指導など)。
大体こんな内容をお話ししています。
説明会の資料となる入園案内の冊子は事前に配られているため、再度の説明となります。
ただし保育園生活が始まるにあたり重要な内容となりますので、改めてお伝えしています。
保護者懇談会に参加
4月の中旬から下旬には、保護者懇談会が開かれます。
看護師は一応0歳児クラスの担任として配置されているので、0歳児クラス担任の保育士さんたちと一緒に保護者さんたちとお話をします。
0歳児クラスの特徴は、全員が新入園児であることと、月齢により発達の差が大きいところです。
うちの子どもは少し保育園に慣れたかな?まだ○○ができないけど大丈夫かな?離乳食の進め方はどうしたらいいかな?と、保護者さんたちは様々な心配を抱えています。
特に第1子の方は、初めての子育て・初めて子どもを自分のいないところに預けるという不安も大きいです。
保護者さんたちが安心できるように、そして担任と保護者、保護者同士が仲良くなれるような会になれるよう工夫しています。
保育補助
4月は特に、初めての環境や保護者から離れる寂しさから号泣してしまう子が多いです。
泣いてしまい遊べない、食事を食べられない、お昼寝ができないといった子がたくさんいます。
まだ慣れていない子に少しでも安心してもらえるように、なるべく1対1の対応ができればいいのですが、もちろんそんなことはできず常に人手不足です。
そのため、看護師もこの時期は保育に入る時間が多くなります。
4月末には保育園に慣れてきて少しずつ泣く子は減ってくるのですが、ゴールデンウィークの長期休みでリセットされてしまう子も……。
5月中旬くらいまでは保育補助の時間が多い印象です。
また、0歳児の離乳食やミルクの時間にはほぼ必ず補助に入ります。
ミルクはどうしても1対1になりますからね。
ミルクから牛乳に変わり、食事も自分で食べようとするまでは食事に手がかかるので、秋ごろまでは食事の時間に補助に入るようになります。
新入職員向けに保健研修
新年度には子どもだけではなく大人の新入りさんもいます。
看護師は新人さん向けに研修を行い、自分の園での保健活動について知ってもらいます。
- 子どもの観察ポイント
- 登園の目安、子どものかかりやすい感染症
- 体調不良時の対応
- けがが起きたときの対応
- 午睡時の注意、SIDSについて
- 園で使用している消毒薬の使い方
- 嘔吐処理の方法
少してんこ盛りになってしまうのですが、研修資料を渡して読み返せるようにしています。
特に新卒の新人さんは覚えることが膨大ですからね。
全体向けに保健研修
新人さんだけでなく、全職員向けにも研修を行います。
アレルギー児・お薬を預かっている子・熱性けいれんの既往がある子などの情報を職員会議などで全職員に共有します。
アレルギー発症時の緊急時の対応については、給食の先生と一緒に計画して全職員に研修を行っています。
春の遠足に参加
私の保育園では5月末ごろに幼児さん(3歳児~5歳児クラス)の遠足があります。
看護師もけがや急な体調不良に備えて引率に参加しています。
いつ補水を挟むかなど、計画作成の段階で担任から相談を受けることもありますよ。
6月:内科健診・歯科検診・視力検査
子どもたちが保育園に慣れて落ち着いたこの時期に保健行事がもりっと詰め込まれています(笑)。
6月は保育園も忙しい時期なので、なんだかんだ5月末くらいからやることもあります。
内科健診
園医による全園児の内科健診を行います。
保育園での内科健診は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第十二条」にて年2回行うことを義務付けられています。
事前に保護者へ内科健診が行われることを周知しておき、園医に相談したいことがあれば確認します。
プライバシーの配慮も重要です。巷では「上半身を脱ぐ必要はないのでは」という意見もあります。
しかし内科健診は、聴診より心雑音がないか、視診により側弯症はないか、虐待の可能性はないかなどのスクリーニングとして重要なものです。そういった異常を早期発見するためにも医師に上半身を見せることは必要と言えます。
ただし、他の子に上半身を見せる必要はないので、プライバシーの配慮をしながら行うことが大切です。
看護師は健診の補助や記録を行います。終わった後は保護者へ結果を周知します。
もちろん園医さんとの日程調整も看護師の役割です。
歯科検診・歯の健康教育
年に1回の歯科検診があり、それに合わせて歯についての健康教育を行っています。
ちなみに6月4日は虫歯の日なので、歯の健康教育はだいたい6月4日にやることが多いです。
内科健診と同様、歯科検診も看護師は検診の補助や記録を行います。
歯科は全くの領域外だったので、最初は少し勉強が必要です。
記録の書き方を知るだけでなく、よくある異常も知っておかないと、歯科医さんがなんと言っているのか理解できません……。
歯科検診の結果は保護者へ周知するだけでなく、統計を取って保健所へ報告しています。
虫歯などの異常が見つかった場合はかかりつけ医への受診を促し、結果を報告してもらうようにしています。
歯の健康教育では、なぜ虫歯ができるのかを絵本やペープサートを用いて説明し、歯磨きやうがいの必要性を伝えます。
他にも歯に興味を持ってもらうため、写真の歯はどの動物の歯か、歯は何本生えるのか、前歯や奥歯の役割、乳歯と永久歯についてなどを年齢に合わせてクイズ形式など楽しい方法で伝えています。
保育園では歯磨きをしていませんが、自分で歯磨きをする子が増える4歳児・5歳児クラス向けに正しい歯磨きの方法を伝えることもしています。
歯の染め出しをすると結構楽しそうにやってくれますよ。歯科検診をしてくれている歯科医さんにお願いすると、歯科衛生士さんが歯磨き指導に来てくれることもあります。
視力検査・目の健康指導
保育園では視力検査も行っています。
この視力検査は看護師が行います。
検査方法が理解できてくる3歳児クラス以降を対象にしています。
視力は6歳ごろには大人と同じくらいに成長すると言われています。
弱視などの異常がある場合、成長しきる前に治療することで治すことができます。
治療が早ければ早いほど治りやすくなるため、保育園でのスクリーニングは重要です。
また、視力検査に合わせて目の健康教育も行っています。
目やまつげ、まぶたの機能、目が悪くならないためにはどうしたらいいかなどを伝えています。
ハーフの子が園児にいたので、いろんな目の色や形の人がいること、目の色は黒い人も茶色い人も青い人も緑の人もいるんだよ~と伝えました。みんなで目を覗き合って「キレイだね」と言い合っているのが印象的でした。
7月~9月:夏の暑さ対策とプール活動
夏は暑さ対策が必須です。プール活動や水遊びなども行われるため、水の事故防止にも注意が必要です。
どんなに暑くても、夏休みのない保育園には毎日子どもたちが登園してきます。なんとか暑い夏を乗り切りましょう!
プールの安全・衛生管理
暑い夏と言えばプールですね。保育園でもおむつの取れる3歳児クラスくらいからプール活動が始まります。
楽しいプールですが、毎年悲しい水の事故が起こっているのが事実です。
そして、プール活動により感染症が蔓延する可能性もあります。
看護師はプールの安全・衛生管理として、以下のようなことを行っています。
- 保健所主催のプール安全・衛生管理講習を受ける
- 上記内容を保育士さんたちに研修する(監視の重要性と方法、緊急時対応、夏に流行りやすい感染症、プールの残留塩素濃度の測定方法や調整方法、プールに入っても良い基準、など)
- 残留塩素濃度を調整しやすいように、塩素剤を計量しておく
当日の実際のプール活動は保育士さんが主導となってやってくれますので、看護師は安全に活動できるように、保育士さんたちがやりやすいように事前準備をしておく役割があります。
熱中症対策
梅雨が明けると一気に暑くなり、子どもたちを襲う熱中症。
子どもたちはまだ汗をかくことが上手ではなく、「熱中症弱者」です。
適切な対策ができていないと、熱中症となりやすいです。
こまめな水分補給や、食事での塩分補給を大切にしましょう。
保護者にも、朝ごはんをしっかり食べてきてくださいねと周知しています。
WBGTという暑さ指数や、園の各所に配置している熱中症指数計をもとに、活動の可否や短時間にするかなどを決定しています。
害虫対策
夏は虫も多くなります。
虫よけ剤には「ディート」と「イカリジン」の2種類があるのですが、ディートは効果が強い分、乳幼児への使用制限があります。
保育園ではイカリジン配合のものが選ばれる場合が多いと思います。
園によっては虫よけ剤は使わず、手作りのアロマを使用したり、自宅で体や服に虫よけ剤をつけてから登園してもらうなどの対応をしているところもあるようです。
お泊り保育に参加
夏に5歳児クラスのお泊り保育があります。
初めて保護者から離れて保育園に一泊するお泊り保育。不安で体調を崩す子も時々います。
体調があまり良くないけど、園生活で1回しかないお泊り保育なので、多少無理をして来てしまう子も……。
課外活動があるので、そこでけがをしてしまう場合もあります。
また、持病の治療で朝夕に内服や塗り薬をしている場合、お泊り保育のときだけお薬をお預かりし、保護者の代わりに与薬する必要があります。
そういった対応のために、看護師も子どもたちと一緒にお泊りしています。
年に1度の夜勤ですが、見回りは保育士さんが行ってくれているので、夜間は何もなければ爆睡しています(笑)。
ストレスチェック
ストレスチェックは、労働安全衛生法によって50人以上の労働者を抱える事業場で年1回の実施が義務付けられています。50人未満の場合は努力義務だそうですが、私の保育園では非常勤職員を含めて50人以上となるため、必ず毎年実施しています。
看護師はストレスチェックの実施と結果を本人に伝え、必要に応じて産業医との連携を行います。
結果は本人の許可なく園長などの他人に伝えることはしません。
全体の傾向などは全員に公開しています。
また、実施後は労基署への報告も必要です。
ストレスチェックは有料のツールなどもあるようですが、私は厚生労働省の出している無料のものを使用しています。
10月~12月:行事の多い季節
運動会やハロウィン、お遊戯会、クリスマスなどの行事が盛りだくさんの時期です。
立て続けに行事があるので保育士さんも子どもたちもバタバタと忙しくなります。
忙しくなるとけがや事故が増えるので、時々注意喚起も必要です。
視力検査
6月同様、秋にも視力検査を行います。
やり方は6月と同じです。
ちなみに10月10日は旧体育の日のイメージが強いですが、「目の愛護デー」でもあります。
「10」を横にして見ると、眉毛と目に見えるからだそうです。
インフルエンザ予防接種の周知
10月ごろからインフルエンザワクチンの接種が始まります。
私の自治体では公費でインフルエンザワクチンの補助が出ます。受け忘れが無いよう、ほけんだよりで情報を発信しています。
任意接種のため強制ではないですが、一応接種したら報告してもらっています。
運動会の救護係
秋の大イベントといえば運動会です。
運動会では転んでしまったりぶつかってしまったり、どうしてもけがが起こりやすくなります。
すぐ手当ができるよう、看護師は救護係として待機しています。
まだまだ暑い時期になりますので、熱中症対策として補水をしたり、体調が悪そうな子がいれば涼しいところで様子を見たりといったこともします。
秋の遠足
春と同様、秋にも遠足があります。
秋にはバスや公共交通機関を使って少し遠くまで遠足に行きます。
酔い止め薬はあずかれませんが、バスの前の方の席にする、エチケット袋を作成するなどの配慮が必要になります。
遠くに行く場合でも緊急時に対応できるように、行先の周辺のどこにAEDが設置されているかを確認しておきます。
また、当日は各自でお弁当を持参してくるので、普段給食に使用されない食材が使われる場合があります。
アレルギー児がアレルゲンに接触する可能性が高まるため、誰が何アレルギーなのかを引率する職員に改めて周知します。
行事の補助
運動会だけではなく、ハロウィンやお遊戯会、クリスマス会などのイベントが目白押しです。
保育士さんが主導で行事を企画・運営してくれていますが、看護師も裏方として参加しています。
例えばお遊戯会では照明係をやったり、幕の開け閉めをやったり。
クリスマス会ではサンタさんの仮装をしたことがあります。担任がサンタをやると子どもたちにすぐバレてしまうのですが、看護師や事務所の先生、給食の先生などがサンタをやると意外とバレませんでした(笑)。
職員の健康診断
事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければならないとされています。
そのため、看護師は近くのクリニックに職員の健康診断の依頼をし、日程を調整して職員全員が健康診断を受けられるようにします。
年齢によって受けなければいけない項目が変わるため、誰が何の検査を受けるかの調整も必要です。
健康診断の費用は保育園持ちになりますが、必要最低限の項目以上の検査を希望する場合は実費となっています。
健康診断の結果は労基署への報告が必要となります。
1月~3月:新年度準備と感染症対策
保育園では年末年始はお休みとなるので、やっと長期休みを取ることができます。
ゆっくり休めたかと思えば、年明けからは新年度準備でバタバタと忙しくなります。
また、冬は気温も湿度もぐっと下がり、感染症が蔓延しやすくなります。
インフルエンザや胃腸炎の流行シーズンとなりますので、感染症対策が重要となります。
手洗い指導
感染症が流行するシーズンなので、全学年に手洗い指導を行います。
0歳児・1歳児クラスはまだ1人で手を洗うことは難しいので、手洗いの歌を歌いながら一緒に手を洗う練習をする程度です。
2歳児クラスからは1人で手を洗うようになるので、年齢に合わせて工夫しながら手洗いの方法を伝えています。
5歳児クラスには就学に向けて少し時間をかけて手洗いについて教えています。保育園に手洗いチェッカー(ブラックライトと蛍光塗料)があるので、それを使って視覚的に上手な手洗いの方法を教えています。
自治体で手洗いチェッカーを貸し出しているところもあるので、ぜひ活用してみてください。
手洗いの方法だけでなく、うがいの方法、鼻をかむ方法、なぜ風邪をひくのか、咳エチケットについてなどを話すこともあります。
新入園児健診
2月ごろに自治体から来年度入所予定のお子さんの一覧が届きます。
その後、保育園で健診と面談を行い、最終的に保護者が入所を希望されれば入所が確定する流れとなっています。
新入園児健診は園医を保育園に招いて行うのですが、看護師はその依頼と診察や身体計測の補助を行います。
身体計測は泣いてしまう子が多いので、保護者の協力も得ながら行っています。
面談は保育士が日常生活について、栄養士が食事についての面談を行っています。
看護師は面談という形で時間をとって全家庭とお話しすることはしていませんが、事前にもらった書類で気になる点があった場合や健診中に相談されたりした場合はお話しすることがあります。
保健計画の振り返り・次年度の保健計画の作成
保育園看護師の業務は「保健計画」をもとに行われています。
計画に対してどのように実行したのか、その振り返りを行います。
振り返りをもとに、次年度の保健計画も作成します。
園医やクラスとの日程調整によって保健行事の日にちは前後するため、計画は「いつごろに何をするか」というふわっとしたものになってしまいます。それでも「いつごろに何をするか」が明確になっていることでモレなく保健行事が行えますので、計画は重要です。
書類整理・次年度準備
書類は保健計画だけではなく、保健日誌や身体計測の記録、子どもの健康管理の記録、薬のお預かりや使用の記録、検温の記録など、さまざまな書類があります。
それらを年度ごとにまとめ、次年度用に新しい記録用紙を作成します。
4月に入るとまた慌ただしい日々が始まりますので、年度末にやれることをやっておかないと大変です。
まとめ|割とずっと忙しい!?保健計画が重要!
保育園看護師の年間スケジュールは保育園の行事に合わせて決まります。
どの時期も何かしらの業務があり、暇になることはありません。
ただ、「いつごろに何を行うか」という保健計画を把握し、計画に沿って行動していれば連日残業になってしまうほどの忙しさではありません。
その他、保育園看護師の基本的な仕事内容や一日の流れはこちらをご参照ください。
季節ごとの重要なポイントを押さえて、楽しく子どもたちの健康を守っていきましょう!
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